モズの早煮え

云十年前の秋の、比較的穏やかな日だったと思う。二階の6畳に居たところ、開け放した窓から小鳥がバタバタと飛び込んできた。

その気配を察したのか、母ちゃんが、張り詰めた声で私の名を呼んで、二階の窓を全部閉めるようにと声をかけてきた。

言われるがままに、窓を全部閉めて一階に降りると入れ替わりに母ちゃんが二階に上がって行った。

そこで私の記憶は一旦途切れている。

その日の夕餉で、ややコクのある味噌汁が出た。っと、私の歯が細い棒状のものに当たったので口から取り出したところ、小さな骨の形をしていた。その瞬間、私はすべてを察した。

ありがたく頂いた。

昼間見た鳥の形状から察するとモズだったと思う。

種によっては絶滅危惧種もあるようだ。

昔のことなので、どうぞお許しを。